2022年に石原慎太郎元東京都知事が行ったことで、
改めて注目されるようになった海洋散骨。
海に還りたいという故人の願いを叶えられたり、
お墓の維持管理が不要ということで
新しい供養の形として受け入れられつつあります。
実際、全国優良石材店様が2020年に実施した調査では、
国内で行われた海洋散骨の人数は1年間で約25,000人にも
のぼることが推測できると伝えています。
一方で、海洋散骨についてまだまだ否定的な意見もあり、
法的に問題ないのか疑問を持っている方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、散骨に関する法的な問題やルール・マナーについて
解説していきたいと思います。
本記事が、散骨に対する不安・疑問の解消に繋がれば幸いです。
目次
散骨は法的に問題ある?ない?
自治体ごとに条例・ルールが違う
散骨を行う際のマナーについて
散骨は法的に問題ある?ない?
まず最初に散骨に関する法律についてご説明致します。
実は、散骨は違法でも合法でもない、グレーな葬送方法なのです。
というのも、散骨は近年、注目され始めた
新しい供養のかたちであるため法律の整備などが
いまだにされていないのが実情です。
ただ、散骨を行うにあたり注意すべき法律が2つあります。
1つ目が、刑法190条(死体遺棄罪)です。
刑法190条には、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、
遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」とあります。
そのため、ご遺骨をそのまま撒くという行為は、
この刑法190条に違反することにあたります。
ただ、ご遺骨を粉骨して散骨する場合には、
刑法190条の違反にあたらないというのが現状の日本の考え方です。
また、この法律について、1991年に法務省が
「葬送のための祭祀として、節度を持って行われる限り、
遺棄罪には当たらない」と
非公式ですが、コメントを発表しました。
ですので、粉骨を行った上で節度を持って散骨を行えば問題ないと言えます。
次に散骨において注意すべき法律は、
「墓地、墓埋などに関する法律」(通称「墓地墓埋法」)です。
墓地墓埋法では、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、
墓地以外の区域に、これを行つてはならない(第4条)」とされています。
この法律は、あくまで「死体の埋葬」や「焼骨の埋蔵」を対象としているため
ご遺骨を「撒く」という行為は想定されていません。
そのため、海洋散骨はこの法律の違反にはあたりません。
しかし、たとえ粉骨をしたご遺骨であっても
墓地以外の場所に「埋める」場合は、
墓地埋葬法の違反に当たるため注意が必要です。
自治体ごとに条例・ルールが違う
法的な問題はないものの、自治体によっては散骨ができない地域があります。
過去に散骨を行った人のマナーが悪く、
住民とトラブルになったことなどがきっかけで、
一部の市町村では散骨を禁止する条例を施工しています。
また、観光地としてのイメージを保つために、
散骨に規制を設けている自治体もあります。
例えば以下のような自治体です。
北海道長沼町
長沼町さわやか環境づくり条例
北海道岩見沢市
岩見沢市における散骨の適正化に関する条約施行規則
埼玉県秩父市
秩父市環境保全条例
静岡県御殿場市
五点箸散骨場の経営の許可等に関する条例
静岡県熱海市
熱海市海洋散骨事業ガイドライン
もし、散骨を検討しているのであれば、
ご自身の地域、または散骨を行いたいと考えている
自治体の条例について調べることをおすすめします。
ただ、ここまであげてきた法律や条例を知っていれば、
散骨は法的には問題がなく、行うことができます。
次に、散骨をする際に気をつけるべきマナーをご紹介します。
散骨を行う際のマナーについて
先程も少しお話したように、
散骨は「節度をもって行うこと」が重要となります。
ただ、その「節度」は行う側の自主判断に委ねられているため、
不安に思う方もいるかもしれません。
ここで、一般社団法人日本海洋散骨協会様がお伝えしている
ルール・マナーをお伝え致します。
●散骨は葬送を目的とし、場所や方法は、
まわりの人の宗教的感情を十分に考慮しておこないましょう。
●海洋散骨をおこなう海域は、漁船や海上交通の要所を避けておこないましょう。
●お骨は形が骨と分からない程度に粉末化しましょう。
●環境問題に配慮しましょう。自然に還らない副葬品を海に撒いてはいけません。
上記について、少し補足すると、
例えば、人が多く集まるような場所で
喪服を着て散骨をするというようなケースであれば、
周囲にいる人達にとって必ずしも気持ちのいいものではないでしょう。
また、散骨をする場所や方法についても配慮が必要になります。
散骨ポイント | 可否 | 理由 |
湖や沼での散骨 | ✗ | 湖や沼は水道の蛇口から出る水の水源です。ルールとマナー違反であり、社会的問題発生の可能性があります。 |
河川や滝での散骨 | ✗ | 河川や滝も、水道の蛇口から出る水の水源です。ルールとマナー違反であり、社会的問題発生の可能性があります。 |
フェリーや遊覧船・交通船からの散骨 | ✗ | 一般のお客様が乗船されていまあす。マナー違反であり、船主から損害賠償の対象となる可能性があります。 |
海岸や防波堤での散骨 | ✗ | 漁業者・養殖場・海水浴場や海の家などから風評被害による民事訴訟の可能性があります。 |
湾内や近海での散骨 | △ | ほとんどの海洋散骨は湾内や近海でおこなわれていますが、岸から離れていても漁業場や養殖場の近くは避けなければいけません。 |
外洋での散骨 | ◯ |
効果以上の所有権はありません。ただし、外洋であっても漁業場や船路は避けなければいけません。 |
空からの散骨 | △ |
公開上や国有地山林などに空から散骨する場合には、事前にその場所がルールとマナーに反しないか確認しましょう。 |
海外での散骨 | △ |
現地情報を正確に把握することが必要です。厳しいルールと罰則が設けられている国もあります。 |
以上が、海洋散骨における法律等の説明になります。
海洋散骨は法的に問題はありません。
ただ、法的整備が追いついていないということでもありますので、
ルール・マナーを守り、節度をもって行っていただければと思います。
海洋散骨を行いたいけど、
法律などに不安がある場合は、決してご自身で散骨を行わず、
信頼できる散骨事業者に相談・依頼することをおすすめします。
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